郵政民営化で“巨大なブラック企業”が爆誕!内部では「局長会」なる組織が睨みを効かせ…問題点を記者が解説
『ブラック郵便局』著者・宮崎拓朗氏インタビュー
■自民党、立憲民主党の国会議員は何も知らなかったのか

——郵政民営化に賛成した議員の中には今も自民党の現職議員として活動している人もいます。彼らは郵便局の現場がここまで疲弊している現状をご存じなのでしょうか。
宮崎 局員が働く現場の実態までは、詳しく知らない可能性があります。
私自身も取材するまでは、末端の郵便局員が保険契約の過剰なノルマや、年賀ハガキを自腹で買って販売枚数を稼ぐ「自爆営業」に苦しんでいる状況がここまでひどかったとは知りませんでしたから。
——野党の立憲民主党には郵便局員でつくる労組が推す議員がいますが、彼らは局員救済へ向けて何かしたのでしょうか。
宮崎 保険の不正販売問題に関して、会社側が、営業担当者の給与を引き下げ、その分を営業手当に充てる仕組みを導入したことがあります。これによってノルマ至上主義に拍車がかかったのですが、局員たちで構成する日本郵政グループ労働組合(JP労組)は、この提案を受け入れていました。JP労組は基本的に会社側と協調関係にあります。
このような立ち位置にあるJP労組に対して、ノルマに苦しんでいた局員が、どれくらい助けを求めたのかは不明です。保険の問題が表面化する前に取材したJP労組の幹部は、「そこまで大きな問題は起きていない」という認識でした。現場の状況を理解していなかったのではないかと思います。結果として、JP労組は歯止めにならなかったわけです。
JP労組は、立憲民主党にとっての支持基盤です。郵政関連の問題に関する国会質疑では、日本維新の会や日本共産党の議員が厳しい質問をすることが多い一方、自民党や立憲民主党の議員が追及する場面を見ることは少ない印象です。